顕微鏡撮影について ~その1~
2012.09.07

「カメラマンやってます。」「何を撮影してるんですか?」「顕微鏡でいろいろ撮影してます。」 「⁇?…」間が空いて「たまにテレビで細菌が増える映像とか、血液サラサラで血流の映像が流れたりしますよね…」みたいな説明をすると「ああ〜」みたいなことが多々あります。 一般的にはピンとこないですよね。 そんなマイナーな顕微鏡撮影についてぼちぼちと書いていこうと思います。

撮影方法には大きく分けて2つあります。1つはタイムラプス撮影、微速度撮影とも言います。 もう1つはリアルタイム撮影、通常の動画撮影です。

まず、タイムラプス撮影はインターバル時間ごとに一コマ(1フレーム)づつ撮影していくことで、顕微鏡下の生物のふるまいを時間を縮めて見ることができる撮影方法です。 顕微鏡を覗いただけでは止まっているようにしか見えない生物もゆーっくり動いています。 タイムラプス撮影することで生物がどんなふうに動いているかが見えてきます。

そこで撮影する際に現象をどれだけ縮めて見るかを決めるのがインターバルです。 例えば1個の細菌がフレームいっぱいに増殖する様子を撮影したいとします。フレームを埋め尽くすまで10時間かかるとして、それを40秒の動画として撮影するとなると、インターバル時間は30秒となります。言いかえると、30秒インターバルだと1時間で120フレーム撮影します。10時間で1200フレーム。 それを30fpsで再生すると40秒の動画になります。 もし、細菌一個が分裂するところをじっくり見たい場合はインターバルを変える必要があります。 1回の分裂の時間が20分かかる場合、先程と同じ30秒インターバルで撮影すると動画再生の時間は約1.3秒で、一瞬に分裂してしまってその様子はよくわかりません。それを1秒インターバルくらいで撮影すると動画再生時間が40秒になって分裂する様子を詳細に見ることができます。

つまり、何を見たいか、どんな現象を撮影したいかによってインターバルは決まってきます。

タイムラプスで撮影するものには、いまあげた細菌の増殖だったり、細胞の増殖や分化だったり様々ですが、現象がゆっくりと変化していくものには最適な撮影方法です。中には分裂するのが非常に遅い細菌など、1カット撮るのに1週間近くかかったりするものもあります(これはかなりしんどい(-_- ;) )。

もう一つのリアルタイム撮影はその名の通り顕微鏡下でもリアルタイムに起こっている現象を撮影することです。 いろんな組織の血流や線毛、泳ぎ回る細菌などがそれにあたります。中には動きが速すぎてリアルタイムでも動きが見えないものもあります。そんなときはハイスピードカメラで撮影してスローモーションで動きを見たりもします。

私たちの身の回りには時間を縮めることで見えてくる現象がいくつもありまね、壮大な雲の流れだったり、神秘的な蝶の羽化だったり。ミクロの世界にも生物独自がもついろんな時間の流れがあります。 それらを切り取って微小な生命の営みを見ることができるのが顕微鏡撮影です。

 

by 青嵐